藤原記念財団設立趣意書

藤原記念財団設立趣意書

昭和35年4月4日設立許可

 わが国の医学は、最近数十年間において実に驚異的な進展を遂げ、今次大戦前の状態に比較するとまことに隔世の観がある。
しかし、今日の状態をもってしても、欧米諸国にくらべると、なお、相当の遜色があることは覆いがたい。我が国の優秀な多数の医学研究者は、この頽勢を挽回しようと日夜研究に没頭しているが、研究費は乏しく、研究に要する設備、 装置の不十分なため、その研究に進路をはばまれている。
 僅かに、着想の非凡と、ひたむきな努力と精進により、その困難を克服し、なかには、欧米を遥かに凌ぐ優秀な研究業績をあげていることは、すでに識者の知るところである。
 尊敬するわが国のこれらの医学研究者にできる限りの援助をし、その研究目的の達成を記念するのは、われわれの当然の責務であると信ずる。
 あらゆる分野の医学研究を症例援助し、わが国の医学の振興発展に貢献し、世界人類の福祉に寄与することを目的とし、あわせて京都大学医学部教授藤原元典博士の「ビタミンB1」に関する業績を記念するため、同博士の提供される浄財をもってここに藤原記念財団を設立しようとするものである。